ゲルトとルッキーニ(とシャーリー)を組み合わせた全く新しいなにか(その2) ※ ※ ※ ※ 「…………」 ニヤニヤ ニヤニヤ 「…………」 ニヤニヤ ニヤニヤ 「…………」 ニヤニヤ ニヤニヤ 顔は見ずとも、どんな表情をしているか分かる。 隣に座るハルトマンが、露骨に「面白いことを聞いた」というオーラを発している。 うう……このあいだ、風呂場でルッキーニに……その……キスをして…… そしたら急に恥ずかしくなって…一人で急いで風呂からあがってしまったのがマズかった。 ちゃんとルッキーニに内緒にするように言えばよかったのだが……。 よほど嬉しかったのか、ルッキーニはその直後に風呂に来たハルトマン(なんでそんなタイミングでくるんだ…)に 話してしまったとのことだ。 うううううう、よりによって一番面倒なやつに知られるとは…。 今朝になってそれをルッキーニから聞いた。 そしてそのままハルトマンを締め上げにいったのだが、幸い、それ以上の人間に広めていないとのことらしい。 他言していいか悪いかの分別くらいはあったのか、と、一瞬見直したのだが 「しばらくはアタシ一人で独占したいネタかな〜って思ったから♪」だと。 やっぱりコイツはとんだハルトマン野郎だよ。 絶対に他言無用だ!……とは言ったのだが……。 「……フフフ」 隣から気味悪い笑い。やめろ、朝食がマズくなる。 「どうかしまして?ハルトマン中尉。なにかおかしいことでも?」 気付いてくれるなペリーヌ。そいつは元々どこかおかしいんだ。 「いや〜〜 仲間同士が仲良いのは微笑ましいな〜 なんて」 !!!!!! ガタッ!!! つい膝が机の裏にぶつかってしまった。コ、コイツさっそくバラす気か!? 「ほら、アレとかソレとか」 そう言ってハルトマンが指差す方向には宮藤とリネット。ユーティライネン少尉とリトヴャク中尉がそれぞれいる。 「ほら芳佳ちゃん。スープがついてるよ〜」 「あ、ごめん。ありがとリーネちゃん」 と、宮藤の口元を拭ってあげているリネット。うむ、宮藤はおっちょこちょいさんだな。 「ほらー、ちゃんと自分で食べろヨー」 「眠い……モグモグ」 夜間哨戒から帰ってきたリトヴャク中尉が、ユーティライネン少尉に寄りかかり 食べ物を口に運んで食べさせてもらっている。 「まったくー…今日だけだかんナー」 何度か聞いたことあるなその台詞。 「ああ…私も少佐と…」 なにやらペリーヌが(精神的に)遠くに行ったが、気がそれてくれたようでよかった。 「あれ〜どしたのトゥルーデ〜手がなんだか震えてるよ〜」 ニヤニヤが止まらないといった様子のハルトマン。 そうかい。 そんなに今食べた物を吐き出させてもらいたいかい。 「こらニンジン残してるぞー」 「うぅーそれ嫌いー」 親子のような会話が聞こえてくる。 イェーガーと……ルッキーニだ。 「なに言ってるんだ。こんなにおいしいじゃないか」 自分の皿のニンジンをどんどん食べるイェーガー。 妙にニンジンが多いな。ああ、ウサギだからか。 「じゃー シャーリーがアタシのも食べてよー」 「駄目だ」 「うゅ?」 二人がこっちを見る。 しまった。つい口を出してしまった。これでは注目していたのがバレバレではないか。 落ち着け。カールスラント軍人はなんとやら。 「オホン……バランスのいい食事を心掛けなかれば、戦闘でも力を発揮できないぞ」 「う〜…ニンジン食べれば、トゥルーデみたく強くなれる?」 「それだけでも駄目だ。好き嫌いしない食事と、規則正しい生活、そして訓練と訓練、また訓練だ!」 「大尉が言うと説得力があるな はっはっはっは! その通りだぞぉルッキーニ!」 ありがたいフォロー。さすが坂本少佐。 「…………うん…じゃあ………パク」 観念してニンジンを食べるルッキーニ。そうだ。偉いぞ。 「ヴェー、マズイー」 うんよくやった。 笑いながら頑張ったと、滅茶苦茶褒めてあげたいところだ。 「ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ」 そしてこのハルトマン野郎のニヤケ顔も、滅茶苦茶にしてやりたいところだ。 …………ニヤリ ん?今、別の所からニヤけを感じた気がするが……  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・ ザザー ザー 午後になって急に雨が降り出した。 今日は訓練もなく、隊員達は思い思いの休みを過ごすつもりだったようだが、 この雨では外出もままならない。 宮藤はリネットと一緒に街に買い物に繰り出そうとしていたらしく この突然な空の気まぐれにガッカリしていた。……可愛そうに。 私自身は自主訓練をしようと思っていたのだが、この雨雲に覆われた空を見ていて だんだんと気分が沈んできてしまったのだ。 ……こんなことで……情けない。 雨の日は好かない。 この黒い空を見ていると、敵に覆われた祖国の空と、 国も大事な人も守れなかった自分を思い出してしまうから。 「取り戻さなければ……絶対に」 つい、拳に力が入ってしまう。 ジッとしていても仕方がない。 銃器の手入れでもするか……。整備員達の腕は信用しているが 自分自身でもチェックしておかないとな。  ・  ・  ・  ・  ・ ハンガーにやってくると、イェーガーがストライカーの調整をしている。 いつもだな。そんなに納得のいく出力がでないのか? 「精が出るな」 「おー。なんだー?アンタもストライカーの整備かー?」 「いや、私は武器のほうだ」 「ごくろーさーん」 「なー。ルッキーニとなんかあった?」 「ひへぇっ!?」 唐突な質問に、酷い声が漏れた。 「ブッ!! なんだそれ〜 ハハハハハハ!!!」 「な、なななな!?」 どういうことだ!? ルッキーニから聞いたのか!? まさかハルトマンのやつか!? 「いやー、なんか朝食んとき、いつもと違う感じだったからさー」 「なに……!?」 そんなバカな。あの時の私は、極めて冷静かつ自然な会話ができていた……と思う。 なのに、この大雑把でガサツで適当なリベリアンが、私の動揺を見抜いていたというのか!? ……まさか人の心を読む魔法が使えるのか! 「まぁ、ルッキーニがアンタの言うこと素直に聞いてたしな」 「………」 「なんとなーくだけど、アイツのことは理解してるつもりだし………あとエーリカがめっちゃニヤニヤしてた」 ぐぅ。言葉にださずとも人を貶められるのかハルトマン。お前は本当に黒い悪魔だよ。 「だからまあ、なーんか面白いことになってるのかなーと思ったんだ」 「別に、面白いとかそういうのではない………ただ」 「ただ?」 顔がだんだんと熱くなってくるのが分かる。 「…少し………仲良くなっただけだ……」 ニヤニヤ ニヤニヤ いつの間にかイェーガーの顔がすぐ近くにあった。すごいニヤけ面で。 ああそうか。さっき感じた別のニヤけの正体はコイツか。 「そっかそっかー まあ仲良しになるのはいいことだーハハハハー」 バシバシと私の肩を叩きながら笑う。 「ふん…ルッキーニに仲のいいやつができるとお前も嬉しいというわけか」 「んーそれもあるんだけどさ」 「?」 「アンタが…皆とうまくやれてるってのが……なんか嬉しくて」 私が?どういうことだ? 「ちょっと前までのアンタは、なんかいっぱいいっぱいな感じがしてさー  最近はそうでもなくなってきたから、なんだか安心できるようになってきたんだよね。  なんかいつもピリピリしてるやつと一緒に戦うのも嬉しくないじゃん?」 「…………」 ルッキーニだけじゃなく、お前にもか……まいったな。 「ふ、人の感情に無頓着なリベリアンにそんな心配をされていたとは……」 「あーヒデー、それ偏見ー」 「すまんすまん。いや、正直驚いたよ。私をそうなふうに気にかけていてくれたなんてな」 素直な気持ちが言葉にでた。 私はもっと仲間達のことを見たほうがいいな。 一緒に戦ってきたのに、私自身はまるで皆のことを分かっていなかった。 いや、分かろうともしていなかったんだ。以前の私は……。 「お? あー…まあ私もアンタと同じ大尉だし、そろそろしっかりしないとねー、なんて……」 なんだかイェーガーも照れくさそうだ。珍しい。 「そう言えばルッキーニはどこだ?一緒じゃないのか?」 朝食の後から姿を見ていない。 ハンガーにでもいると思ったんだが。 「うん?多分どこかで昼寝だと思うけど、外がこんな天気だし、どこいったんだろうな?」 「そうだな、こんな天気だし……」 ザザー  ザザザー ザー ザザー 「…………」 「…………」 二人同時に外のほうを見やる。 「なあ……なにかなアレは」 「さあ……なにやら布切れが蠢いてるな…」 なにかがトボトボとハンガーの入り口から入ってくる。 色は緑と赤の、大きな布を被ったようで……ん?アレは確か… 「国旗だな、ロマーニャの……」 イェーガーが溜め息をつく。 ああ、そうだな、さっきまでは晴れてたものな……。  ・  ・  ・  ・  ・ 「へぷちっ!! うぅ〜寒いよぉ〜」 脱衣所でルッキーニの体を拭いてやるイェーガー。 「なんか冷たいな〜って思ったら、雨降ってるんだもん…う〜」 「ズブ濡れになる前に気付けよー」 木の上で昼寝をしていて、雨が降り出してもしばらく気付かなかったとのことだ。 大物というかなんというか…… 体を温めるため、風呂場につれてきたわけだが 「………なんで私まで一緒なんだ……?」 なぜか私まで服を脱いで、一緒に入る流れになっていた。 「まーまー、せっかくだからさらに親睦を深めようかなーって」 なにが「せっかく」なんだ。 「いーじゃん!トゥルーデも一緒に入ろうよ〜!」 ルッキーニが抱きつき、見上げてくる。 う。 その目には弱い……。 チャポン 結局三人で風呂だ。 むう……ひょっとして流されやすいのか?私は。 「はにゃ〜あったかい〜」 ルッキーニがトロトロとした笑顔で浸かっている。 そのまま溶け出してしまいそうだ。 「……フフ」 なんだかつい、笑ってしまうな。この子を見ていると。 「ふふ〜ん お堅いカールスラント軍人さんも、可愛いのには弱いんだね〜」 悪戯っぽく笑うイェーガー。 ………この手のからかいは、ハルトマンのヤツで慣れている。 ああそうさ。 可愛いさ。 微笑ましいとも。 「さあルッキーニ。私が髪を洗ってあげよう。こっちにこい」 湯船からあがり、ルッキーニを手招きする。 「ホント? やた!」 トテトテと近づいてきたルッキーニの頭を洗いはじめる。 こういうことはクリスによくやってあげたから手慣れているのさ。 「あーなんだよーアタシは仲間ハズレかよー」 ブクブクと不満そうにするイェーガー。ふふ、まいったか。 「……よーし、ならアタシも混ぜてもらうかなー」 なに? スッと私の背後に回り、石鹸を自分の体に塗りたくるイェーガー……まさか。 「ほ〜れ」 ポヨヨン 「うひぃ!?」 すごく柔らかいものが背中に押し当てられた。 「な、なななにをしているんだ!?」 「だからアンタがルッキーニを洗う。私はアンタを洗う。問題ないじゃないか」 「私はいい! というか、なんでその……体に…んん!……体を押し当てる必要が…ぁん……ある!」 「ほらこれなら私の体も同時に洗えるじゃん?」 ズニュ ズチュ クチャ ズリュ モニュ 「ふぁ!あ、ああ! やめ…」 体を押し当て、そのまま上下するイェーガー。 大きく柔らかいものが、私の全身を擦る。 「トゥルーデェー もうちょっとーやさしくー」 つい洗う手に力が入ってしまい、ルッキーニが不満を漏らす。 「あ、ああすまん……って、だから!やめるふぅん…だ!リベリあぁんふぅっ!!」 前に手を回すな! こ、腰が……力がぬけて…もう立ってられない……! 「ふああああぁぁぁあぁ……!!!!!」 ヌリュ クチュ ニュニュ ジュニュ プチュ  チュボ ………… ……… …… … 「いや〜、ちょっとやり過ぎちゃったね〜 ソーリー♪」 「あははーシャーリーすげぇー」 のんきにケラケラと湯に浸かり、笑い合う二人を背に、私はグッタリとしていることしかできなかった。 くそう……あんなに気持ちい……違う、強烈な攻撃を受けるとは……。 恐るべしリベリオン合衆国……! 「でもルッキーニー、もうちょっとで風邪ひくところだったんだから、外で寝るときは気をつけろよー」 「うじゅじゅー、あのシーツお気に入りだったのに……」 ロマーニャ公国の国旗柄のシーツ。ルッキーニはいつもあれを敷いて寝ている。 「洗濯してもらってるから、今夜は我慢しな」 「うぅ〜…」 外は雨だし、シーツなしだとハンガーの中は寒いかもしれない。 そもそもなんで自分の部屋で寝ないのだろうか。 「そうだ!ならそこのグッタリしてる大尉の部屋に泊めて貰えばいい」 「………は?」 急に何言ってるんだ? 「え!いいのトゥルーデ?」 いや、駄目とは言わないんだが…… 「お前の部屋のほうがいいんじゃないか…?」 と、イェーガーに振る。 今までも入ったことある部屋のほうが落ち着くだろう。 「ん〜、アタシの部屋はさ、いろいろ触ったらアブナイもんが多くて…」 ああ、なんか分かる気がする。 工具類やら変な機械とかか。 「コイツ、触るなって言ってるのに弄るんだよー」 「えへへー」 ルッキーニが申し訳なさそうに笑う。 いろいろ気になってしまう性分なんだろうからな。 その分、私の部屋の殺風景さは、部隊一だ。 確かに悪戯っ子がただ寝るだけなら、適した環境かもしれない。 「まぁ…いいだろう。」 とりあえず了承しておく。 「やた!ヨロシクね!」  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・ 「と、言っていたハズなんだがな」 「ありゃりゃ。完全に寝ちゃってるねぇ」 ハンガーの一角で、完全に眠りこけてるルッキーニ。 夕食がすんだ後、そのまますぐ眠ってしまったらしい。 「まー、雨も上がったし、これならそんなに冷え込まないだろ」 「そうだな……少し暑いくらいだ」 季節的に、雨でも降らなければ夜はそれほど冷え込まない。 空は綺麗に澄み、星も月もよく見える。 「ふあぁ〜……じゃあアタシたちもそろそろ寝るとしますか」 「ああ」 時刻はもう就寝時間。 カールスラント軍人たるもの。規則正しい生活は基本だからな。 「じゃあ、オヤスミ…………トゥルーデ」 「ああ、オヤスミ…………シャーリー」 ベッドから、窓の外の夜空を見上げる。 美しい。 空が見えることが幸せなことだなんて、祖国が占領される前は気付かなかった。 取り戻さなければな………絶対に……。 あの星も月も、カールスラントの大地から見上げることが出来る日を……。 「………ん?」 空になにかが登っていく。 光る角の生えた鳥のような……。 ああ……リトヴャク中尉だ。 今夜も夜間哨戒に出発したんだな。 彼女は本当によくやってくれている。我が部隊の影の功労者だ。 そういえば…彼女とも…あまり話しをしたことがない…な。 今度は……もっと…な…かよく……zzzz  ・  ・  ・  ・ キィ…カチャン モゾ モゾモゾ モミモミ  ハムゥ チュッチュ チュー ん……? なんだろう…… なんだか胸が…… 気持ちいいな…… パチ 気持ちいい? かけていたシーツを払う。 そこには、凄まじい光景が展開されていた。 ルッキーニが……その…私の胸を…吸っている!! チュー チュパ 「んふぅぅぅうん!?!?」 ビクッ ビクビクッ 股間から頭までを電気が走るような感覚が突き抜ける。 ピーンと体が弓なりに反ってしまう。 一体これはどういう状況だ!? そ、そうか!夢か! 夢だな!? なら問題はない! カールスラント軍人はうろたたたた 「ん〜…チュー チュチュー」 「ひぃぃんふぅっ!!」 ゾク ゾクゾクゾクッ 違う!この感覚はまぎれもない現実! 「おおおお起きろ! 起きるんだルッキーニ!!」 「あにゅ…?」 ハムハム 「んくぅ!!」 薄く目はあけたが、小さな口をハムハムさせて……私の…先端部分を甘噛みしてくる。 「な、な、なにしているんだ!」 まだ半分は寝ている状態の顔に問い詰める。 チュパ 「あーぅ……トゥルーデ……一緒に寝るって……約束…」 ああ、うん。 それはした。 って別に無理して私の部屋にくる必要は全然ないハズ。 眠いならそのままハンガーで寝ててくれていいんだぞ? 「そしたらー…トゥルーデ寒そう……だからー、温める…」 寒そう?温める? なんでそうなる? 「はだかんぼー…」 あっ!! 自分の今の格好を思い出した。 そうだ。私は、いつもの習慣で寝るときは裸でだった。 寝ぼけたルッキーニは、この姿を見て寒そうだと思ったのか。 「違うぞ!私は別に寒くなんかないぞ! さあ落ちついて私を離すんだ」 「んー…」 フラフラと左右に揺れながら、ゆっくりとルッキーニは体を起こした。 「……………」 美しかった。 窓から差し込む月の光に照らさせた褐色の肌。 虚ろげな瞳。 未成熟で凹凸の少ない全身。 長い黒髪と、魔力発言の証である黒豹の耳と尻尾。 なんとも神秘的な様相となっているルッキーニがそこにいた。 つい、ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。 ドクン 私は自らの心の鼓動が早まるのを感じた。 おかしい。 なんだコレは? こんな幼い少女相手に、私は一体なにを感じているんだ? ルッキーニは 12歳で。 幼くて。 まだ子供で。 可愛くて。 無邪気で。 いい笑顔をして。 温かくて。 抱きしめたくて。 グルグルといろんなルッキーニが頭の中を巡る。 まさか…… 私は… いや、彼女は大切な同じ部隊の仲間だ。 それだけだ。それだけ…… ………本当に? 胸に手を当て、グッとなにかを押さえ込む。 「………クウ」 パタンと、ルッキーニが再びベッドに倒れこんだ。 「………zzzzz」 …………どうやら、完全に眠ったようだ。 まったく……。 なんだか私も気が抜けて、そのまま倒れこむように眠りに落ちていく。 意識が途切れる寸前に見た彼女の寝顔は いつもの笑顔とは違い、どこか、大人びているように見えた。  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・ 今朝はいい天気だ。 昨日の雨とは違い、雲一つない快晴だ。 起床時間より少し早く起きた私は、先に食堂に行くことにする。 「zzz……ムニャ……」 ルッキーニはまだ私のベッドで寝ている。 猫のように丸まって気持ちよさそうだ。 その笑顔はとても無邪気で、子供らしかった。 「………そうだよな」 音を立てないよう、そっと部屋をでていく。 カチャ… 「よう!オハヨウ!」 廊下にでると、そこにはシャーリーがいた。 「ああ、オハヨウ……なんだその格好は」 シャーリーが上下ともピンク色の下着のまま、仁王立ちしている。 自分の体に自信があるのは分かったよ。 でも、もう少し隠してくれ。 「なんだその格好は……ね〜♪ まさかトゥルーデに言われるとは」 「…?」 「夜中に裸で、ベッドでルッキーニと見つめ合っちゃうような人にねぇ〜」 「ぬはぁ!?」 「いや〜、夜中にトイレに起きて、そのままルッキーニに様子を見にいったのよ」 「な………な……な」 「ハンガーにはいなかったからさ じゃあアンタの部屋にいるかな〜って」 「う…あ…あ」 「ちょーっと、覗いてみたら、そこはもう禁断の……」 バタン! 「大尉!自分にもその話を詳しく教えて欲しいであります!」 最悪のタイミングで扉からでてくるハルトマン。 なんでこんなときに早起きなんだ。 どうしていつも私が困る場所にいるんだ。 そういう魔法なのか。 「おお!ハルトマン中尉!貴官はこの状況をどう思うかね! ニヤニヤ」 「はっ!やはり前々から、そういう嗜好の片鱗が確認されています! ニヤニヤ」 プツン 決定的ななにかが私のなかで切れ、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった うう……意識が薄くなっていく。 「うお!?どうしたでありますかバルクホルン大尉! 衛生兵! 衛生兵ー!!」 ……………。 「なあ……これホントにやばいんじゃないか……?   た、隊長ー! ミーナ中佐ー!   トゥルーデがいろいろ駄目だー!!」 もう ヤダ…この部隊………。 ガクリ。 ※ ※ ※ ※ 今回も読んでくれた方、ありがとうございます。 2回目で少し慣れてきたかなー、なんて…… 次は北欧組と絡められたらいいなぁーと思ってます。 さ、3回目があるかなんてわからないんだからね!