「んむっ…!」 部屋に入るなりエイラさんに飛びついてキスした。 わたしは背がかなり低いから、自然と爪先立ちになる。 エイラさんをドアに押し付けるような形で抱きついたまま、必死にエイラさんの唇をついばむ。 「ん…ぷぁっ…ミヤ、んっ…ミヤフジっ!ベッドいこ…んんんっ!」 「ちゅむ…っふ、んー…すき…エイラさん…んぅ…」 だって我慢できなかったんだもん。 今日はなんだかすれ違いが多くて、まだ一回もしてないし、一回もされてなかったから。 一日ぶんのキスの嵐で攻め立てた。 …少し激しかったせいか、エイラさんの背後のドアがきしきしと音を立てる。 徐々にエイラさんの体の力が抜けて、ずるずると座り込む形になる。 わたしも立てていた爪先がぷるぷると震えてきて限界だった。 「…っふ、ミヤフジ、激しすぎ…ん…んんっ…」 「んふ…っは、ら、らってぇ…」 二人でドアの前にへたり込んだ。 舌が回ってない。なんだか恥ずかしい。 足にももう力が入らなくて、たぶん立てない。 だからまだ動く上半身で、またエイラさんを抱きしめた。 「あむ…んっ…もっと…んむ…今日は、たくさんするの…んん…」 「…うあっ…っふんぅ…っん…しょうが、んん…ないなっ…!」 今まではわたしの方がエイラさんの口内をぺろぺろと舐めていたけれど、 反撃とばかりにエイラさんもわたしの口に下を絡めてくる。 「んんんぅ…!」 歯茎とか、下の裏側とか、弱い所を一気に攻められて、ぽーっとしていた頭がさらに蕩けてくる。 だめぇ…ちから、ぬけちゃう…。 「…よっ!」 「…ひゃっ!?」 全身がふにゃふにゃになったのを見抜いたのか、急に体を押し倒されて両腕を押さえつけられた。 太ももとか、少し捲くれた袖の内側とか、肌が露出した部分が石造りの床に触れてひやりとする。 全身が性感帯になった気分。 エイラさんの長い銀髪がわたしの顔の両側に垂れて、エイラさんに閉じ込められた感覚に陥る。 でも嫌な気分ではなくて、むしろ安心した。 「…ベッド行こうって言ったのに…私もなんか我慢、できなくなってきたじゃんか…」 「だ、だって…」 ジト目で見つめるエイラさんの両目を直視できなくて目を逸らす。 「…止められないんだもん…」 好きで好きで大好きで。 エイラさんとのキスが気持ちよすぎて。 自分を抑えることができなくなっていた。 「今日だけ、だかんな…?」 「…今日だけ、なの?」 エイラさんの台詞に切なくなって思わず聞き返す。 今日だけなんて我慢できるわけ無い。 一日中こうしていたい。 毎日だってしていたい。 「…ウソだってば」 ふ、と一瞬微かに笑ってキスしてくれた。 唇と唇が触れるだけのキス。でもすごく安心して、すごく満たされた。 「嬉しい。すごく」 唇同士が離れて、すぐ言った。 すぐにでも気持ちを伝えたかったから。 「エイラさん、大好き」 「私も、芳佳の事が大好き」 今日何度目かわからないキス。 すごく幸せで、すごく満たされて。 ベッドにも行かずにそのままわたし達は唇を重ねあっていた。