ようせいといっしょ 2 怪我をしたうさうさようせいの手当てをした翌朝。 リビングにあるうさうさようせい用の簡易ベッドの様子を見る。 タオルに包まり耳だけ外に出したまま寝ているうさうさようせい。・・・ちょっと可愛いな。 っとそれより朝食だ。 今日のメニューは塩茹でしたジャガイモだ・・・正確には今日も。 物凄い量の芋が送られてきたから処理を手伝って欲しいという実家が農家の友人の頼みをきいたばっかりに・・・。 「いただきます」 味気ねー。 ・・・・・・何かに見られている気がする。 ゆっくりとうさうさようせいの方へ顔を向ける。 そこにはいつの間にか起きていたのかうさうさようせいがベッドの上から窓の外を見ていた。 気のせいか・・・おっと芋が冷める。 ・・・やっぱり見られている。 再びうさうさようせいを見るとさっきと変わらぬ姿勢で外を見ているが・・・。 ぐきゅるるるるる〜 派手な音が鳴り申した。それと同時にうさうさようせいの頬を伝う汗。 「お腹空いたのか?」 と言う問いにゆっくりと振り向いたうさうさようせいがこくこくと頷く。 そういやうさうさようせいの分を用意しておくのすっかり忘れてた。 簡易ベッドとなっている籠を持ってきてテーブルの上に置く。 一口大の小さなジャガイモをフォークで刺し「ほれ」とうさうさようせいに差し出す。 思いっきり首をブンブンと振るうさうさようせい。一体どうしたのだろう? じっとこちらの目を見つめてきたと思いきや皿の方へと視線を移す。 視線の先には皿の上にある芋の中でも一番大きい芋。 中々現金だな。 小さいのを自分の口に放り込み改めて大きい芋を差し出してやる。 するとがつがつと齧りあっという間に食べてしまった。 食べ終わったうさうさようせいが期待の篭った目で見つめてくる。まだ食べたいらしい。 新しい皿を取り出してそこに大きめの芋をいくつか乗せてうさうさようせいのベッドの中に置いてやる。 「はい、これでいいか?」 人の話を聞いているのか居ないのか既に芋を食べる作業に取り掛かっている・・・・・・手あったんだ。 俺が芋を食べ終わるより早く食べ終わり満足そうな顔をしてのんびりとしている。 空になった二枚の皿を片付け部屋に戻ろうとするとうさうさようせいが何か言いたげに身体をゆすっている。 ジェスチャーか? 「・・・ふむふむ・・・なるほど・・・ごめん全然わかんねーや」 怒り出すうさうさようせい。両手で籠の淵をバンバンと叩いている。あぁそんなに強く叩くと・・・。 ぐらっと傾く籠、置いてあるのはテーブルの端、投げ出されるうさうさようせい! ぽすっと手のひらで受け止めてやるとほっとした顔で胸を撫で下ろしている。 「まったく、言わんこっちゃ無い」 籠に戻してやるがプイッとそっぽを向かれた。 「あとでちゃんと構ってやるからな」 テーブルの真ん中に籠を移し俺は自室へと戻った。 パソコンと睨めっこしながら調べ物をしていたら腹が鳴った。 時計を見るともう昼だ。 昼飯どうしようかなぁ・・・・・・なんか買いに行くか。 さっさと着替え買い物に出かけた。 バーガーショップでバリューセットを注文し、スーパーでバランス栄養食を買って家路に着く。 リビングのテーブルに昼飯を広げていると匂いに釣られたのか昼寝をしていたうさうさようせいが起きてきた。 「お前の分も買ってきたぞ?食うか?」 と聞いたがツンと横を向かれた。朝のことをまだ怒っているらしい。 仕方なく一人で食べていたがやはり匂いの誘惑には勝てないのかチラチラとこちらの様子を伺っている。 「食べないならお前の分も食べちゃうぞぉ?」 ダメだと言わんばかりにジタバタするうさうさようせい。 「しょうがないなぁ」 包装を解いて食べやすいように皿に乗せてあげるともぐもぐと食べ始めた。 なんとなく頭を撫でてやろうと手を伸ばしたら「これは私のだ!」と言うかのごとくハンバーガーの前に立ちふさがる。 「取ったりしないよ」 ゆっくり頭を撫でてやるとうさうさようせいは再びハンバーグを食べる作業に戻る。 可愛いやつだ。 フライドポテトをつまみながらコーラを胃の中に流し込んでいるとうさうさようせいがじっとこっちを見ていた。 「ん?どうした?」 コーラが気になるらしい・・・。 「お前の分はこっちだろ?」 そう言ってオレンジジュースを差し出すがイヤイヤと首を振っている。 「・・・・・・一口だけだからな」 コーラの入った紙コップを差し出すとストローを飲みやすい角度に変えて飲み始めた。 一口だけというのはわかっているのか頬が膨れるくらい口の中に溜め込んでいるうさうさようせい。 ストローから口を離しごっくんと飲み込むと けふっ と中々立派なげっぷが出た。 「はい、お終いな」 うさうさようせいはもっともっとと言わんばかりに手を伸ばしている。 「だーめ、一口だけって約束したろ?あとはオレンジジュースで我慢しなさい」 しかしうるうると潤んだ目で見上げてくる。 「だーもう!次からはお前の分のハンバーガー買ってこないぞ?」 この一言が効いたのかちゅーちゅーとオレンジジュースを吸い始めた。涙目で。 まったく・・・俺が悪いことしたみたいじゃないか。 昼飯のあとから夕飯までずっとタオルに包まって不貞寝していたうさうさようせいだが夕飯を食べ始めたらすっかり機嫌が直ってた。 しかしまぁ小さいくせに結構食べるな・・・。 食費見直さないと。 こんな感じで俺とうさうさようせいの初めて過ごした丸一日が終わった。