ようせいよいっしょ 3 怪我をしたうさうさようせいを保護してから数日後。 怪我の具合も良くなり始め家の中を少しうろつける様になった。 行動範囲はリビングのテーブルの上だけなんだど。 昼食の買い物を済ませて家に帰るとうさうさようせいがテーブルの端までやって来た。 ・・・なんでそんな期待に満ちた目をしてるのかな? 「今日はハンバーガーじゃないぞ」 そう告げるととぼとぼと簡易ベッドへ戻っていく・・・なんてやつだ。 タオルに包まっていじけたうさうさようせいを尻目に昼食の準備にかかる。 今日はカレーだ。多めに作って明日の夕食までカレーにしよう。 カレーは中辛が一番だよね。 もそろそろ出来上がる頃うさうさようせいがタオルの隙間からこっちの様子を見ていた。 「食べたいのか?」 と言う質問に対し遠慮がちに頷くうさうさようせい。 「それじゃもう少し待ってな。そしたら出来るから」 すでにわくわく状態なのか、ベッドから出てきて体を左右に揺らしている。 カレーが完成し皿に盛り付ける。うさうさようせい用に茶碗程度の大きさの皿に盛り付けてプラスチックの小さいスプーンを出す。 最近、うさうさようせいの行儀がよくなった・・・って言う言い方でいいのかな? 俺が食べる準備が出来るまで待ってるし「いただきます」と言うまで手をつけなくなったのだ。 それでちょっとイタズラを仕掛けてみることにした。 椅子に座りもう食べる準備は万端。 うさうさようせいは俺が「いただきます」と言うのを今か今かと待っている。 さて・・・・・・どれくらいもつかなぁ? 早くもうずうずしている。 俺の顔を見てはカレーを見てを繰り返し思いっきり食べたいというオーラが出ている。 45秒ほど経って遂に我慢の限界が来たらしい「早く食べよう」と言いたいのだろうスプーンで皿を指し示し目で訴えてくる。 これ以上は可哀想かな?そう思い、この言葉を口にする。 「いただきます」 待ってましたとうさうさようせいがカレーを一口。 熱かったのか声にならない悲鳴をあげてごろごろと転がっていた。 水を差し出してやると一気に飲み干す。 「大丈夫か?」 ふぅ・・・と息ついたうさうさようせいが再びカレーと対峙する。 スプーンで掬ったカレーにふーふーと息を吹きかけ冷ましながら食べ始めた。 ・・・・・・やべ、ちょっと可愛い。 その日の夜だ。 時間も時間なので寝ようと思うとうさうさようせいがなにか合図を送っている。・・・・・・なんだ? 「どうしたんだ?」 椅子に座りテーブルの上のうさうさようせいと向き合う。 うさうさようせいはジェスチャーを始めた。 ・・・・・・えー何々? 「ふむふむ・・・なるほど・・・ほう?・・・アホ面?違う?」 こちらの解釈が合っていると頷き違うと首を振るうさうさようせい。 「えーっとまとめると、ここだと寒いから寝るときは暖かい部屋に移せと」 コクコクと頷く。 そんなに寒いかなここ。 んーでも他に暖かそうな部屋ねぇ・・・俺の部屋か? 一応暖房あるにはあるけど・・・まだ使ってないしなぁ。 ま、いいや。とりあえず俺の部屋に連れてって気に入らないようなら他の部屋を考えよう。 「ほれ、この部屋でどうだ?」 しばし考え頷くうさうさようせい。うさうさようせいの入った籠をベッドサイドに置いて 「よし、じゃあお休み」 と寝ようとしたらバン!と何かを叩く音。 「お次はなんだ?」 この子は一体何に怒っているんだろうか。 布団を指し示し次に籠の中にあるタオルを指すうさうさようせい 「えーあー俺だけ暖かそうなのに包まってるのがズルイって?」 今度は俺がしばし考えた。・・・その結果 「それについては後日検討してやる、だからもう寝ろ!」 俺は寝た。 翌朝、俺の布団に勝手に潜り込んだうさうさようせいが俺の腕につぶされジタバタともがいていたのは言うまでも無い。